医療英語:I と You はできるだけ省く

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医療英語:I と You はできるだけ省く

 

医療英語:I と You はできるだけ省く

 

The train came out of the long tunnel into the snow country.
As we emerged from the long tunnel, the snowland lay before us.

 

これは川端康成の小説「雪国」の書き出しの部分「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。」のサイデンステッカー、ジェイムズ・カーカップ両氏による英訳です。

 

ここでわかるように、どんなに短いセンテンスであっても英語という言語では必ず何らかの主語がないといけません。ところが日本語では必ずしも主語を必要としません。

 

そこで英語のI’m cold.の日本語翻訳は<私は寒い>でなく、ただ<寒い>と主語を省くと自然な日本語になる場合がほとんどです。翻訳のコツは日本文学の英訳を読むことで、逆に英語を日本語に翻訳するときのコツがよくわかります。

 

さて、英語では自分のことを言うのはIだけです。そして相手を指す言葉はyouです。ところが日本語では全く事情が異なります。例えば日本では家の中で父親が子どもに向かって話す時は自分のことを「わたし」「ぼく」「おれ」などと言う事は考えられず、普通は「おとうさん」「パパ」と言います。

 

つまり「おとうさんの言うことをききなさい」であり、「わたしの言うことをききなさい」ではありません。しかし甥や姪が来ると、たちまち自分のことは「おじさん」に変わります。また学校の先生は生徒に向かって「さあ先生のほうを向いて」と自分のことを「先生」と言います。あるいはまた、小さな子どもは自分のことを「マリはいやよ」と言うといった具合です。

 

話し相手を指す場合でも、「あなた」「きみ」「おまえ」のような人称代名詞が使われることはまれです。たいていの場合主語を省いてしまうか、あるいは相手によって「お父さん」「お母さん」「おにいさん」「おじさん」「おばさん」「先生」「社長」「部長」「課長」「看護婦さん」などなどいろいろになります。

 

つまり日本語では話をしている自分と相手との親族関係とか、社会的な地位身分関係とかをとっさに頭の中で判断して、自分の呼び方や相手の呼び方を決めるのです。

 

そこで英語の原文のIやyou機械的に<わたし>や<あなた>と訳すのは、日本語から遊離した異質な英語を直訳しているにすぎず、自然な日本語に翻訳するには、場合場合によってそれぞれ適切な言葉に訳すか、あるいは全然主語を省いてしまうのがよいわけです。

 

“I was in the hospital for some time.”
“Oh, and what was your trouble?”
“A nervous breakdown”
“Your trouble is luxury,” said Mrs. C. “But it must almost be fun to be in St. Luke’s.”
「しばらく入院しておりまして」
「まあ、何の御病気?」
「神経衰弱でして」
「奥さんのはぜいたく病なのよ」とC夫人が言った。
「でも聖路加病院ならいつまで入院していらっしゃったっていいでしょう」

 

不用な主語はできるだけ省くように心掛けましょう。

 

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