医療英語:科学技術翻訳の無色透明性

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医療英語:科学技術翻訳の無色透明性

 

医療英語:科学技術翻訳の無色透明性

 

科学技術論文の翻訳はその性格が文学翻訳と全く別個のものですが、今日の日常生活では翻訳分野のかなり大きな一角を占めていて、その重要性は近年ますます増大しています。

 

科学技術は日進月歩で、その情報の正確ですばやい翻訳は大切な仕事です。

 

さて、科学技術論文の内容は事実や実験や観察にもとづくものであり、それを正確に、明晰に、無色透明に、個人色を極力押えて、客観的に翻訳すればよいわけです。

 

文学翻訳では大いに問題となる原作の持つ文学的な価値や、文体や、リズム、ニュアンスといったものを翻訳にも反映させなければならないというむずかしい問題がないから、科学技術論文の翻訳はよほど楽なわけです。

 

ただ注意すべき点は、それぞれの分野で使われる特殊な専門用語を正しく翻訳するということです。例えば公害や機械工学の論文では、”noise”は<騒音>と訳しますが、ラジオやテレビ工学の論文では<雑音>と訳さないといけません。

 

It makes a noise like a train. 列車のような騒音を出す。
Noise is always present in an amplifier. 増幅器には必ず雑音がある。
また、一般の文章で”function”は<機能><役目>と訳せますが、数学論文では<函数>と訳します。
The function of the heart is to pump blood through the body. 心臓の役目は体に血液をポンプ作用で送ることである。
For example, cos x is an even function. 例えばコサインxは偶函数である。

 

そこで科学技術の論文の翻訳はその内容をよく知っているそれぞれの分野の専門家であることが望ましいですが、そうでない人でも、それぞれの分野の英和専門用語集がいくらでも入手できるから、公害論文の場合には公害用語集を、原子力論文の場合には原子力用語集を見れば専門用語を誤訳することは避けられます。

 

要するに、科学技術論文ではそこに書かれている情報内容そのものが大切で、言葉の担っている連想に由来する情緒的ニュアンスや文体に特に気を配る必要はありません。

 

そこで科学技術の翻訳は文学の翻訳に比べてはるかに直接的であり、言葉選びに選択の可能性が少なく、はるかに翻訳作業が楽なわけです。

 

ただ直訳調のぎこちない訳文で日本語の訳文を読んでいて、元の英文の構文が推測できるような翻訳調の日本語はいけません。原文と訳文を比較してみたとき、はたしてどちらが原文なのか見分けがつかないようであれば、それはすぐれた翻訳といえます。

 

つまりそれぞれの文章がそれぞれ独立に価値を持たないといけません。初めから日本語で書かれているかのような感を読者にいだかせる自然な日本語でないといけないという点では、文学翻訳も科学技術翻訳も全く同じです。

 

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