医療英語翻訳者になるには

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医療英語翻訳者になるには

 

医療英語翻訳者になるには

 

ビジネスの現場で発生するさまざまな文書を翻訳するのが産業翻訳です。その中でも特許に関わるもの、ITに関わるものなど様々のジャンルに分けられますが、医学と薬学に関わる翻訳もあります。

 

医学・薬学の翻訳と聞いて、何をイメージするでしょう。医学なら医学書や医師の論文、薬学なら身近なところで薬の添付文書などを思い浮かべるかもしれません。もちらんこれらも翻訳対象ですが、他にも様々なドキュメントを翻訳します。

 

医薬翻訳の受注で大きなウェイトを占めるのは、先ずは薬学関連、主に製薬会社で発生するドキュメント。医薬品の研究開発に関連する文書から臨床(治験)関連のドキュメント、パンフレットなどが該当します。特に、大半を占めるのが新薬の開発とその認可申請に付随して発生するドキュメントです。
次いで医学論文など。海外の医学雑誌に投稿するための論文の翻訳や、投稿された論文を日本語にするというもの。論文のテーマは多岐にわたり、医学・薬学の新しい発見や病気などその時々のトレンドによって左右されます。例えば、鳥インフルエンザなどが話題になれば、免疫学が注目されますし、再生医療が注目トピックスとなったりもします。その他、医学学会での資料やスピーチ原稿の翻訳もあります。
医療機器に関わる翻訳は、製薬と同様に、治験や承認申請書類などを翻訳します。またその機器の取扱いマニュアルの翻訳もあります。

 

医薬翻訳の仕事の中でもボリュームが多いのが、製薬企業が新薬を研究・開発・発売する際に発生するさまざまの文書の翻訳です。新薬開発のプロセスのうち、翻訳者に依頼される文書が多いのは、臨床試験、つまり治験の際のドキュメントや承認申請時の文書です。

 

                            

 

一方、基礎研究や非臨床の段階は比較的少ないです。
なぜ治験や承認申請文書の翻訳が必要かというと、いまは日本国内だけで新薬を開発することはまずなく、世界同時開発、発売を目指す企業が多いからです。さらに国際共同治験といった動きもあります。そのためさまざまな情報、試験結果などが共有され、英語の申請書の和訳をもとにして日本への申請書を作成したり、海外の治験データを和訳して申請時に提出したらいと、あらゆる文書が翻訳されることになります。また、逆に日本で実施した治験の概要書や計画書を海外の本社向けに英訳することもあります。このように、英訳、和訳、双方向で翻訳の需要が大量に発生します。
翻訳者にもっとも関係が深いのが「臨床試験」ですが、その過程で作成される「治験実施計画書(プロトコール)」「治験薬概要書」「治験総括報告書」などの文書は、英訳と和訳の双方で翻訳会社や翻訳者に外注されます。

 

 

一方、基礎研究や非臨床試験においても、翻訳が必要なドキュメントは発生しますが、機密保持などの理由により、製薬会社内で処理されるケースが多いです。

 

翻訳すべきドキュメントが発生するのは、製薬会社や医療機器会社など。製薬会社から直接仕事を請ける翻訳者もいますが、それはもともとその会社で働いていた人や特別なつながりがある人の場合が多いです。フリーの翻訳者として仕事をしている場合、基本的には仕事は登録している翻訳会社(エージェント)を通して依頼されます。製薬会社が個人に仕事を発注しないのは、新薬開発などに絡む機密事項が漏れることを避けるという理由もあります。
医師から発注される論文の翻訳には、メディカルライターと呼ばれる専門ライターに依頼されることが多いです。また、最近はCRO(Contract Research Organization)に治験業務などを依頼する製薬会社も多く、CROから翻訳の仕事が発注されることもあります。

 

<翻訳者に必要な素養>

 

<語学力>
高い語学力は基本中の基本。英検ならば準一級程度、TOEICならば800点以上は最低でも欲しいところです。医薬の翻訳では英訳の仕事も多く、英文ライティング力もあるとよいでしょう。
<調査力>
専門性が高く領域の広い医薬の文書を、すべて理解できる翻訳者はいません。分からないことは調べて、その都度、理解を深めます。医薬に関する規制、用語はネット上で閲覧できるものが多数あります。
<パソコンスキル>
翻訳会社とのやりとりはすべてメールです。ドキュメントの納品形式も様々です。翻訳作業を速くするために、マクロを組んで用語検索やファイル変換を自動化する翻訳者もいます。仕事の時短を図るのにPCスキルは必須です。
<日本語力>
翻訳する文書によって求められる日本語表現は異なります。直訳でも意訳でもない自然な日本語表現ができるだけの運用能力を身に付けましょう。それには、ジャンルを問わずに良質の文章をたくさん読むことが大切です。
<理解力>
そのジャンルに関する知識がなければ専門的な内容の原文の理解は深まりません。専門知識を身につけると同時に、多少わからない言葉があっても文章のニュアンスを取り間違えないだけの論理的な思考が必要です。
<専門知識>
製薬なら専門用語と業界の基礎知識に加え、レギュレーション(規制)の理解が必須になります。生物学、生化学、薬理学のベースもあるとよいでしょう。医学でも基本的な知識は欲しいところです。いずれにせよ、理系にアレルギーがないことが最低条件です。

 

 

医薬の分野では、日常触れることのない専門用語が沢山あります。極端に言えば、製薬関連の文書は、生物学、生化学、薬理学の基本や新薬開発の流れ、遵守すべきガイドラインを理解していなければ訳せません。そのため医薬翻訳者には製薬会社に在籍していた人や、大学で医学を学んだ人も多いです。一方で、医学や薬学のバックグラウンドのない人でも、活躍している人はたくさんいます。
翻訳者には高い語学力が大前提ですが、専門知識は後から学ぶこともできます。医薬分野の基礎知識を学び、新薬開発のプロセスやレギュレーションについて把握すれば、専門文書を訳すことも可能です。また、今はネット上で医学論文や法的規制文書などさまざまな資料が閲覧可能なので、勉強の素材は簡単に入手できます。さらに医薬のドキュメントに的を絞って指導する翻訳スクールも多くなっています。プロの指導を仰ぎ、医薬の基礎知識を身につければ、翻訳者として活躍するのも夢ではありません。
スキルが身に付いたら次は仕事探しです。翻訳者は翻訳会社に登録して仕事を請けるのが一般的なので、まずは翻訳会社のトライアル(登録時の試験)にチャレンジしましょう。

 

医薬翻訳の特徴
<専門的・理系知識が必須>
薬学関連なら薬理学、生化学の知識、薬事に関わるさまざまなレギュレーション(規制)、医学であれば基礎的な医学知識や疾患と治療法について幅広く知ることが必要です。
<需要が高く安定している>
製薬業界のグローバル化はますます加速しています。それに伴って翻訳すべき文書は増える一方です。力がある翻訳者であれば、仕事には困りません。
<景気の影響を受けにくい>
人の健康、生命に関わる医薬品業界は、好不況に左右されにくい業界です。研究開発も常に活発で、関連する文書の翻訳受注は比較的安定です。
<人材は不足、報酬はやや高め>
専門性が高く、できる人材は不足という翻訳会社が多数です。需要>供給であれば、おのずと報酬も高めになります。また、研究開発費が潤沢な製薬企業は、翻訳でも価格より質を重視します。
<業界関係者の独立も多い>
製薬企業や医療機器メーカーで研究・開発に携わった人材が、知識を生かして翻訳者に転身するケースもあります。業界経験のない翻訳者も同じ土俵で勝負することになります。
<英訳の需要も多い>
外資系クライアントからの和訳だけでなく、内資系メーカーが海外進出する際の英訳も多数あります。和訳と英訳、両方できるに越したことはありません。

 


 


 


 

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